オシムの言葉

ソファの上からこんにちは。そふぁね(@sofa_ne)です。

『オシムの言葉』という本を読みました。かなり売れた本なので、タイトルは知ってるけど読んだことは無いなーという方が多いかと思います。

この本を手に取ったのは、以前オーストラリアにサッカーを観に行ったときです。出発前に「飛行機の中で読む本を何冊か買ってKindleに突っ込んでいこう。せっかくだから、サッカー関連の本にしよう。」と思って選んだのがキッカケです。

で、結局行き帰りの飛行機の中では別の本を読んでしまって、しばらく積んでおいて最近やっと読みました。

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読む前のイメージとしては、売れた本ということもあって、「ビジネスに効くオシム語録みたいな本かなぁ」と思ってしまっていたのですが、読んでみたら全く違いました。決してただの語録のような本ではなく、戦争や民族間の争いによる激動の時代をサッカーと共に生き抜いてきたオシムの伝記というのが正しい内容です。そして中身も濃いしとにかく良書。

概要と感想

イビチャ・オシムは元日本代表監督として有名ですが、出身は旧ユーゴスラビアです。
オシムはユーゴスラビア代表選手として活躍したのち、祖国であるユーゴスラビア代表監督にも就任します。しかし、オシム在任中にユーゴスラビア内で民族紛争が起きる等、サッカーが本来切り離されているべき政治や戦争といった社会混乱に巻き込まれていきます。
代表監督として国外にいる間に戦争が置きて祖国に戻れなくなってしまい、戦争の続くサラエボに夫人を残したまま数年間離れ離れになってしまう等、正直日本のサッカー界では想像もつかないような状態が綴られていました。

そうした中で、オシムがいかにしてサッカーと向き合い、監督としての哲学を確立し、監督となったジェフ千葉や日本代表をどのように考えていたのか、といった内容が書かれていて、何度も言いますが語録ではなく、オシムという一人の人間の伝記であり、旧ユーゴスラビアサッカーと日本サッカーの歴史書でもありました。

確かに、読む前にイメージしていたような「ビジネスに効く」ような内容も多く含まれていますが、この本も、オシムの発する言葉も、ストレートに「あれをしろ」「こうすべきだ」といった内容ではありませんでした。あくまでも読み手が「この本から何を自分事として捉えるか」に依存していて、それによって深みが全く変わってくるだろうと思います。
特に指導者として優秀である点と、メディアに対しても飄々としたコメントで自分の空気を作ってしまう点に共通しているのですが、オシムは物事の抽象と具象を行ったり来たりするのがものすごく上手だなと思います。
オシムの発する言葉が適切に抽象化されているために、聞き手(普段はサッカー選手、この本においてはオシムの言葉を聞くメディアおよび読者)が「ああ、この人は自分に対してこの言葉を言っているんだな」というような、聞き手が自分事として捉えてしまうんですね。つい。そうした言い方が抜群に上手い。

オシムが何か発言をすると、個々の選手が「今の発言は、普段のオレを見てくれていての発言だ。今の言葉はオレに対する言葉なんだ」と選手に思わせる、そういった力がある。もちろん口が上手いとかそんなレベルだけではなく、普段から監督としてサッカーに全力を注いでいるというベースがあってのことですが。

ただ、選手だけでなくこの本を読んでいる読者に対しても「あれ、オシムは自分に対してアドバイスをくれているのではないか?」と錯覚してしまうような、そういったパワーを読んでいて感じました。
サッカー本なのに、どこか「ゲーテとの対話」とかそういった本に近い感覚。

「この仕事にプロフェッショナルとして真摯に取り組むのならば、24時間自分のすべてを捧げる覚悟が必要である」

とか

システムが選手を作るんじゃなくて、選手がシステムを作っていくべきだと考えている。チームでこのシステムをしたいと考えて当てはめる。でもできる選手がいない。じゃあ、外から買ってくるというのは本末転倒だ。チームが一番効率よく力が発揮できるシステムを、選手が探していくべきだ

とか。

後者なんかはそのまんまチームビルディングで大事なことですからね。

仕事や人生で「自分ってコレでよかったのかな・・・」なんて迷いが生じたときに読むと、優しく、かつ厳しく喝を入れてくれるような、そんな存在としての本でした。
Kindleで買ったけど紙版でも書い直そうかと思ってます。

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