【書評】ヒューマンエラーを防ぐ知恵/中田享

ヒューマンエラーを防ぐ知恵

車やバイクを運転していて、ちょっとしたミスから事故を起こしてしまった。「資料を添付します」とメールを送ったら、資料を添付し忘れていた。そんな経験ありませんか?
人間とは切っても切り離せない存在、ヒューマンエラ―。
場合によっては大事故・大損害につながる可能性もあります。
この本を読んで、そんなイヤなことが起こらないようにする方法・考え方を身につけましょう。特に、事故が起こりうる現場で働いている方必見です。

ヒューマンエラーって、なに?

ヒューマンエラーが何なのかは、職種などによって(呼び名も含めて)変わります。工学の分野だと、「現場で仕事をしている当事者のまちがい」に限定されることもあるそうです。
この本ではもっと広く「事故のきっかけになる人間のまちがい」をすべてヒューマンエラーと呼んでいます。

事故の原因と対策、ちゃんとできていない場合が多い

仕事でも、日々いろんな問題が起こります。たとえばA社に送るメールをB社に送ってしまった!といった事故。
事故が起きると当然対策と再発防止策が練られたりするわけですが、「○○の不注意が原因」とか「注意喚起を徹底する」とか、正直小学生が「きをつけます」って言ってるのと変わらない不毛な策で終わったりしますよね。
実は前提が間違っている場合があります。事故はいろんな原因の複合で起こるのです。
本書でも面白い例えで書いてあります。

大事故は、作業員の防災教育が不徹底であり、機械の安全装置が不十分で、しかも仕事が難しいという要因が重なって起こるものです。麻雀やポーカーの役のようなもので、要因がそろわないと大事故にはならないのです。

ヒューマンエラー防止策、その面白い具体例

ヒューマンエラーを防止するためには、大きく3つの方針があるそうです。

①作業を行いやすくする。ヒューマンエラーの発生頻度を抑制する。
②人に異常を気づかせる。損害が出る前に事故を回避できるようにする。
③被害を抑える。小さな事故が大きな事故に発展しないようにする。

それぞれにさらに細かく防止策が書いてあって、その具体例が面白くて惹きこまれました。
たとえば、人に「おや、何かおかしいかもしれないぞ」と異常を気づかせる方法として、警告があります。「ランプが赤く光ったら問題発生だ!」といったようなものですね。
この警告も沢山の注意点があって、人間が自然に(努力しなくても)気づく表現方法がいいそうです。人間が気づきやすいものとして挙がっているのが、人の顔。

紙幣の人の肖像が印刷されているのは、人間は顔の微妙な違いを識別できるため、肖像画のわずかな違いから本物とニセ札とを見分けやすいからである。

本を読みながらおもわず「へーー」と言ってしまいました。なるほど、紙幣に顔が書いてあるのはこんな理由があったんですね。
ほかにも、ヒューマンエラーを防ぐために日常で取り入れられている策として

「美女入浴中」という看板が、急カーブの手前に置いてあると、思わずドライバーは「おやっ?」と思い、速度を緩めるのだそうです。

ATMから現金を引き出す場合、カードが返却され、通帳や伝票が出て、最後の手順で現金が出てきます。ATMの機種によっては別の手段もありますが、現金が最後に出ることは共通しています。現金が先に出てしまうと、その時点で客が帰ってしまい、カードや通帳を取り忘れてしまうのです。

納得ですね。世の中には気付かないうちにヒューマンエラー回避策が盛り込まれていたようです。

ソフトウェアやアプリの開発者にも役立つ点が多い

世の中ではヒューマンエラーが起こらないような工夫が沢山されていますが、ソフトウェアやアプリにおいても工夫は必要です。現在のソフトウェアに対する「読者への問い」として、こんなことが書かれています。

たいていのソフトウェアで、分類しにくいメニュー項目は、「ツール」の「オプション」に入っています。このため、「ツール」の「オプション」は非常に雑多な内容になっています。
「ツール」の本来の意味である「道具」とは、かけ離れています。このため、初心者が項目を探す際に、それがよもや”道具のオプション”にはあるまいと思い、見つけられないという現象が起こっています。

確かに・・・ツールのオプションは不親切かもしれませんね・・・。
今だと身近なのがスマートフォンのアプリ。これも、ユーザーが間違った操作をしないような工夫が必要です。

読みやすさとは裏腹に重要な一冊

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ソフト・ハード問わず「物を作る仕事」の人や、デザイナーさん、自分が危険な仕事をする方など、世の中のかなーり広い範囲の方に役に立つ一冊だったと思います。
安全に過ごしている時間が長いほど、まちがいや事故に対して意識が薄れていきます。
ソファで寝ながら読むにはちょっと適さないかもしれないので、座って、もしくは机に向かって読んでみてください。

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ヒューマンエラーを防ぐ知恵

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